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2009年5月18日 (月)

『タリスマン』読了。

スティーブン・キングのネタです。興味のない人はとばしましょう(笑)

キングの本のうち、ほとんどのものは2回以上読んでいますが、本作は恐らく1回しか読んでいませんでした。

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両巻とも発行日は昭和62年。およそ22年ぶりに読むことになった。(年取ったな。笑)

実はこの作品、自分の中での評価はあまり高くなかった。このころキングが発表していたのはホラー色の強い作品が多かった。また、ピーター・ストラウブとの共著であることなどが理由だと思う。

ところが久しぶりに読んでみて、ぶっ飛んだ(驚)!

既にキングの研究本や他の作品の解説などでも触れられているが、本作と「暗黒の塔 シリーズ(以下DT)」とのあいだには関連性がある。しかし、それがこんなにも強固なものとは思っていなかった。

あ、もちろん本作はDTを知らない人にとっても楽しむことが出来る良質のダークファンタジーだ。若い頃の自分が十分に楽しめなかったのは、↑に書いた理由によりキングの作品としてはちょっと異質なものと捉えていたのだろう。

文庫本の裏表紙にあるストーリーを抜粋すると、こんなあらすじ↓

この世界の向こう側には、背中合わせにもう一つの世界がある。そこは科学ではなく魔法の支配する世界である。ジャックの母は向こう側では女王(クイーン)で、やはり死の床にあるが、生命を救えるのはタリスマンだけだ。ジャックはどうしてもタリスマンを手に入れようと思う。2つの世界を跳躍(フリップ)しながら、西海岸への辛い旅を続けるジャック - 童心を失わない大人たちへのノスタルジアの贈り物。

本作は以下のようにファンタジー作品にはお約束のプロット満載である。

* 主人公ジャック・ソーヤー(この性はトム・ソーヤーに由来)は小さい頃に父親をなくすという経験をしているものの、母親に愛されて育ってきた、どちらかというと「軟弱」な少年。

* タリスマンを求める旅の中で、肉体的にも精神的にも強く、大人に成長していく。

* 作中には「テリトリー」で出会った親友ウルフとの別れ、幼なじみのリチャードとの再会、少年院(少年更生施設?)での辛い日々などの試練や出会いがある。

* 現実世界とテリトリーとの間を行き来してピンチを切り抜ける。

* 目指すタリスマンのある場所には悪の強大な力がはびこっている。

そして、キング作品になくてはならないのが「善と悪との戦い」だ。それは単純に善人と悪人が戦うというだけではなく、善の化身ジャック=ジェイスン・ソーヤーと悪の化身であるモーガン(オリスのモーガン)・スロートが対峙する。そこには見えない力や、現実世界とテリトリー以外の無数の世界(宇宙)がからみあう壮大なストーリーになっている。

さて、本作とDTの関連性についても記しておく。(一部他の作品)

* ビームが交わる場所は世界の中心(DT) ⇒ いくつものテリトリーが交わる場所にタリスマンがある。(本作)

* 終末世界という概念 ⇒ DT、「ザ・スタンド」、本作(表立っていないが)に共通

* 機関車チャーリー(DT) ⇒ テリトリーのトロッコ(本作) ただし、果たす役割は異なる。

* 「タリスマンは鍵?いや、そうではない。鍵ではなく扉だ」(本作) ⇒ 異世界を行き来するのに必要な(ヒントが書かれた)扉(DT)との類似性。

* タリスマン=虹(本作) ⇒ 水晶球(DT:魔道師と水晶球)

* 一連の出来事が終わった後、だんだんと忘れていくこと(本作) ⇒ 過去の出来事を忘れたジャック・ソーヤー(ブラック・ハウス)

*ジャックが分身者(ツィナー)ではなく、単身者であること ⇒ 恐らくDTにおけるローランド・デスチェイン、エディ・ディーン、スザンナ・ジェイク・チェンバース・ドナルド・キャラハン《呪われた町》・・・なども同じ。

* 焦土(ブラステッドランド):本作 ⇒ 荒地:DT の類似性。また、そこを乗り越えて先へ進むこと。

* どちらの作品、あるいはキングの大部分の作品でもそうだが、もっとも大切なことは強大な力を持つことではなく、「信じる」こと。それにより、何者をも凌駕する強い力を得ることが出来る。

本作品から、いくつかの文を抜粋して少しでもこの作品の魅力を伝えられるだろうか?

* ジャックはこれまでにビール樽を転がしたり、段ボール箱を運んだり(中略)そうした経験が彼をたくましくしていた。その逞しさは普通の肉体的訓練による、頭脳とは無関係な単純なものではなく、彼の本性の奥深くまで浸透する逞しさだった。漠然とではあるけれども、ジャックは自分がしようとしているのは、ただたんに母の命を救うということだけではない、という気がしていた。(中略)彼は善をなし遂げようと努力してきたのであり、そんな大事業をなし遂げようとする努力は常に人を逞しくするものなのだ、ということを、いまはぼんやり実感していた。

* (リチャードからタリスマンに関する異なる解釈を聞いて)そうだったのか、よし、わかった。それが、タリスマンなのだ。全ての可能な世界の軸。可能な世界っていったいいくつあるんだろう?それは見当もつかない。アメリカ大陸、テリトリー、仮想のテリトリーのテリトリー、などなどなどと、まるで理髪店の回転する看板の縞のように、どこまでも無限に上昇していくように思える。(中略)それらすべての世界にあって、常に同一であるつづける物、まぎれもなく善そのものである統合の力だが、それがいまは、たまたま悪の館に囚われているのだ。

最後に、本作の主人公ジャック・ソーヤーが成長した後の物語、『ブラック・ハウス』もオススメだ。

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著者:スティーヴン キング,ピーター ストラウブ
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ブラック・ハウス〈下〉 (新潮文庫) Book ブラック・ハウス〈下〉 (新潮文庫)

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コメント

すみません・・
タリスマンはまだ5~6年前に読んだばかりです
103さんて本当にキングがお好きなんですね~
22年前って・・スゴすぎっ!
私も書棚にずらりとキングが並んでますが、103さんにはかないません。。。
でも読み返したい本のベスト3には確かにキングは入りますよね~
ただ読み返すと、他のことが出来なくなっちゃって没頭しちゃうからね、ダメです。
何度読み返しても、結末が分かってるにもかかわらず、ハラハラドキドキ感を毎回味わわせてくれるのは、キングの醍醐味だと思います。

私、何度も書きますけど~
う~ん、キングの本はみんな面白くて大好きだけど~
う~ん、でもやっぱり「ランゴリアーズ」と「グリーンマイル」が一等大好きだ!

パリジェンヌさん、コメントありがとうございます。

そうなんです、本当にキングが好きなんです。今はインターバルをあけて、次読むのはゼッタイにブラック・ハウスです。

ボクも何度も書きますけど、ランゴリアーズ大好きです~。
でも、一番最初に読んだのはなんですか?ボクはクージョでした

私は「ミザリー」が初めて読んだ本です。
もう、こんなに面白い本ってあるの!?
て、ぐらいグイグイ引っ張り込まれて、手に汗しながら一気読みしました。
それからビデオを借りて、これまた一気に観ちゃいました。
「クージョ」は真夏の暑い盛りに読んだんですけど、主人公の緊迫感が伝わってきて、一緒に汗をダラダラ書いた記憶が・・・
あとね、「ローズ・マダー」のDV亭主の「みっちり話し合おう」て、セリフが怖くて怖くてたまらなかったんですよ。
あ・・すいません、何か段々オタクっぽくなってきましたね、ワタシ。。。

パリジェンヌさん、おたく結構ですよ!
キングおたくは大好きです(笑)

「ジェラルドのゲーム」
「ミザリー」
など、監禁される恐怖が伝わってきますよね。
「ローズ・マダー」も暗黒の塔シリーズと関連しています。ぜひDTシリーズを読むことをおすすめします。長いですけど・・・

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