「自転車少年記 あの風の中へ」読了
新潮文庫の「自転車少年記 あの風の中へ」を読んだ。筆者は竹内真。
主人公の半生を自転車を通しての人との出会いや成長を描いている。ここで描かれるのはランドナーのようなバイクだ(主人公ははじめMTBに乗っているが)。ただ、自転車自体の描写はあまりない。だから自転車好きには読んでいて物足りない部分もあるかもしれない。
主人公が友人とともに始める東京~新潟間のラリー(サイクリング)がひとつの大きなイベントになるのだが、ラリー自体の描写ではなくそれを通しての成長がメイン。いくつか本文中を抜粋。
1.東京湾横断道路の建設中、自転車は渡れないらしいということに対して主人公ら少年たちの会話:「ケチケチしないで渡らせろってんだよな。車が走れるんなら自転車だって走れないことないんだから」「結局日本の道路って、自動車の事しか考えてないからね」 ⇒ 今後自転車のブームが盛り上がるに連れてますますこういう問題が大きくなっていくんだろうな~
2.主人公が一度分かれた恋人に会い、その後手紙をもらった場面:文章はこんなにも人を嬉しくさせることができるんだと、あらためて教えてもらえた。⇒ これはブログでも同じですね~。現代人は文章を読まないとか書かないとか言われて久しいですが、パソコンの普及で逆にこういう機会が増えたのではないだろうか。かくゆう自分も日記なんか書いたことないですからね。
3.サイクリング中、他のグループとのタイム差を気にしながら:速い遅いの話とか、抜いた抜かれたの話になると大人げなく意地を張るのが自転車乗りの習性である。⇒ 最近つくづくこれを感じます。自転車乗りのみんなもそうだよね?
4.自転車の機能を考察する中で:それだけでは倒れてしまう自転車だって、乗り手がまたがりさえすれば倒れなくなる。人と機械が一体となって初めて機能するというのも...(以下省略) ⇒ あたりまえのことですが、目からうろこが落ちました。内燃機関やモーターを有する機械とは根本的に違うんだなという認識を新たにしました。
300ページにも満たない本で、文章も平易だが主人公の成長を読んでいくにつれて、ときどきウルウルしてしまう箇所もあり、「なんでこんなので感動してんだろう、オレ」と思うことしきり。ま、ちょっとした時間の合間に読む本としてはお手軽な分量と値段でした。超オススメというわけではありませんが、青春小説(そんなジャンルある?)が好きな方はどうぞ。
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コメント
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10さん、こんにちは。
この本、わたしは数十ページ読んだあと途中放棄しました。理由は記憶に遠くなっていますが、何となく、ストーリーも文章も、わたしには少し甘口に過ぎると思ったようです。ところが、10さんのこの記事を拝見して、オヤッ、と思っています。もう一度、TRYするかもしれません。
投稿: サスケハナ | 2008年2月 8日 (金) 17時42分
サスケハナさん、こんばんは。
確かに本書は読み応えがありませんでした。「自転車の小説」というより「青春小説のツールとして自転車が出ている」という程度のものです。
来週あたり紹介する予定ですが、「セカンドウィンド1」の方がまだ面白いです。それでもティーンエイジャー向け小説という感じですが。
投稿: 103 | 2008年2月 8日 (金) 21時55分